「勉強できる子」を育てる3つの方法
成績の順位よりも大切なこと:教育経済学が教える「勉強できる子」を育てる3つの方法
こんにちは!鹿骨校舎の丹羽です。
今日は教育経済学の第一人者である慶應義塾大学の中室牧子教授のインタビューから、「勉強できる子に変える経済学的方法」について紹介します。お子さんの学習意欲を高め、成長を促すヒントが盛りだくさんですよ。
「井の中の蛙効果」って知っていますか?
「井の中の蛙、大海を知らず」ということわざ、耳にしたことがありますよね。でも中室教授によると、この「井の中の蛙」、実は悪くないんだそうです!
教育経済学では「井の中の蛙効果」と呼ばれる現象があります。同じ学力の子でも、所属する学校によって学内順位が変わります。そして驚くべきことに、この学内順位がその後の学歴や年収に影響するというのです。
埼玉県の学力調査データを使った研究では、小学校で学力が同じでも、クラスで1位の生徒と最下位の生徒では、中学校での数学のテストの偏差値に大きな差が出ました。さらにアメリカの研究では、小学校3年生の時の学内順位が、20代後半の年収にまで影響する可能性が示されています。
つまり、第一志望の難関校で最下位になるより、第二志望の学校でトップクラスになった方が、子どもの自信やモチベーションを育み、長い目で見ると良い結果につながる可能性が高いのです。
勉強できる子に変える3つの方法
では、どうすれば子どもを「勉強できる子」に変えられるのでしょうか?
中室教授は経済学的視点から3つの方法を提案しています。それをクリップアカデミーで私、丹羽が実践しているものをご紹介します。
1. 目標を立てる
カナダのマギル大学の研究では、大学卒業という長期的な目標を明確にし、達成に必要な要素を具体的に分析する演習を行った学生は、GPAが大きく改善したそうです。「ひたすら目標を立てて、きちんと振り返るだけで結構大きな効果がある」と中室教授は言います。
丹羽が考える効果的な目標設定のポイントは3つ:
- 達成可能な行動目標を設定する
- 親や先生ではなく、子ども自身が目標を設定する
- 目標は変更してもよい
小学生の研究でも、夏休みの宿題をまとめてやるより、細かく区切って取り組む方が効果的だったそうです。
私は、点数にこだわるよりも具体的な「行動目標」を設定することが効果的と考えています。なぜならテストが返ってくるまで結果わからないものより、毎日達成し、前進している成長実感が得られるからです。
例えば:
- ワーク1周目の時に間違った問題にしっかりとチェックをつける
- 学校のワークが完璧になったら別の対策プリントに挑戦する
- 提出課題を1週間前に終わらせる
- 定期テスト1か月前から毎日1時間勉強する時間を確保する
このような行動目標は達成感が得やすく、次のステップに進むモチベーションになります。大切なのは日々の積み重ねが習慣になることなのです。
2. 習慣化する
スポーツジムに関する経済学研究では、最初は少額のお金をもらえるからジムに通っていた人でも、繰り返し通ううちに習慣になり、お金がもらえなくなっても通い続けたという結果が出ています。野菜嫌いな子どもに少額の小遣いを与える研究でも同様の効果がありました。
丹羽が実践する習慣化のポイントは:
- 始めるハードルを限りなく下げる
- 同じことを同じペースで繰り返す
- 前進、成長していることを確認する
実際に「継続する技術」というアプリを活用して、子どもたちの学習習慣の定着をサポートしています。シンプルかつ、目標達成のチェックが視覚的に確認でき、達成感を感じやすくなっています。
また、効果的なのは親も一緒に何かにチャレンジすること。「子どもにやってほしければ親も何かを継続する」という姿勢が大切です。1日10分でもいいので、語学学習や読書など、親自身が何か新しいことに挑戦する姿を見せることで、子どもにも良い影響を与えられます。「教えるより背中で示す」方が子どもの習慣化には効果的なのです。
3. チームで取り組む
ウォルマートのレジ係の研究では、生産性の高い人がいると周囲の人のスピードも向上する「ピア効果」が確認されています。アメリカの大学生を対象とした研究でも、個人で自習するより、お互いを知っているグループで自習する方が自習時間が増えました。
「お互いが知り合いの方が意欲が湧きますね。確かに責任感という意味でも、仲が良いと裏切れないなという気持ちがありますね」と中室教授。
チームで教え合うことも効果的です。教える側も、教えるために深く理解する必要があるため、学習がより効果的になります。親としては、子どもたちが互いに教え合ったり協力し合ったりする環境を意図的に作ることも有効でしょう。
子どもの自己評価を大切に
親が他の子と比較して評価するのではなく、子ども自身の成長を認め、励ますことが重要です。「あなたは〇〇ちゃんと比べると...」といった言葉は、子どもの自己評価(セルフパーセプション)をネガティブな方向に導いてしまう可能性があります。
過去自分からの伸びを伝えることが、子どものモチベーション向上につながります。他人との比較ではなく、自分自身の成長を意識させることが大切なのです。
まとめ
教育経済学の視点からは、子どもの学力向上に必要なのは、「目標設定」「習慣化」「チームでの学習」の3つ。そして何より大切なのは、子どもの自己評価を尊重し、成長を温かく見守ることです。
学校の成績や順位に一喜一憂するのではなく、子どもの自信を育む環境づくりが、長い目で見た成功につながるのかもしれませんね。点数にこだわりすぎず、日々の学習習慣と具体的な行動目標を大切にしながら、親子で一緒に成長していく姿勢が重要です。
皆さんもぜひ、「継続する技術」のようなアプリを活用したり、親自身も何かに挑戦したりしながら、お子さんとの関わり方を見直してみてはいかがでしょうか?