都立高校で始まるAI教育が示す未来への準備

2025/05/15 ブログ
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中学生の子どもを持つ保護者の皆さんへ

東京の公立高校で大きな変化が始まっています

皆さん、ご存じでしょうか?東京都の全ての公立高校で、生成AIを使った授業が始まったことを。5月12日、東京都教育委員会は都内すべての公立学校(256校、約14万人の生徒さん)で「都立AI」という専用のAIシステムを使った学習をスタートさせました。

これは中学生のお子さんをお持ちの保護者の皆さんにとって、とても重要なニュースです。なぜなら、お子さんが進学する可能性のある高校で、すでに未来の社会で必要なスキルを学ぶ準備が整いつつあるからです。

「都立AI」って何?子どもたちは何を学ぶの?

「都立AI」は、ChatGPTのようなAIを学校向けに安全にカスタマイズしたシステムです。生徒たちは例えば次のような活動をします:

  • AIに俳句や笑い話を作らせて、AIの得意なことと苦手なことを理解する
  • ロボットの良い点と悪い点についてAIを使って多角的に調べる
  • 学校紹介動画を作る際に、見る人が知りたい情報をAIに提案してもらう

これらの活動を通じて、生徒たちはAIを適切に使いこなす力を身につけていきます。ただAIに頼るだけでなく、AIの回答を批判的に評価し、より良い結果を出すための「AIとの協働力」を育むのです。

なぜ今、AI教育が始まったの?

スマートフォンやSNSが私たちの生活を大きく変えたように、AIも今後の社会を大きく変えると予想されています。東京都は「AI時代に必要な力を育てることが急務」と考え、2023年から少しずつ研究校でのAI教育を進めてきました。その成果を踏まえて、今回全校での導入に踏み切ったのです。

これは単なる「新しい教育トレンド」ではなく、お子さんが将来直面する社会に必要なスキルを育てるための重要な一歩なのです。

保護者として知っておきたい「AIネイティブ世代」のこと

今の中学生は、私たち大人と違い、高校でAIを日常的に使う「AIネイティブ世代」になる可能性があります。彼らにとってAIは特別なものではなく、鉛筆やスマホのような「当たり前のツール」になるでしょう。

一方、30代以上の多くの大人たちは、学校でAIを体系的に学ぶ機会がありませんでした。そのため「AIを使うべきか迷う」「使い方がわからない」といった不安を感じる人も少なくありません。

このような世代間の違いは、将来「AI活用格差」を生み出す可能性があります。AIを上手に使える人とそうでない人の間で、仕事の機会や情報処理能力に差が生まれるかもしれないのです。

家庭でできること:お子さんとAIについて話し合おう

お子さんの未来のために、家庭でもAIについての対話を始めてみませんか?

  1. 一緒にAIを体験してみる:ChatGPTなどの無料サービスを一緒に使ってみて、できることと限界を話し合う
  2. AIの良い使い方を考える:「AIにすべてをまかせる」のではなく、「自分の力を高めるためにAIを使う」という姿勢を伝える
  3. 批判的思考の大切さを教える:AIの回答をうのみにせず、「本当にそうかな?」と確認する習慣を身につけさせる
  4. 創造性を育む活動を続ける:AIが発達しても、人間らしい創造性や思いやりは大切。読書や芸術、スポーツなどの体験も大事にする

高校選びの新しい視点:AI教育の取り組み

中学3年生のお子さんをお持ちの保護者の方は、高校選びの際に「AI教育にどう取り組んでいるか」という視点も持ってみてはいかがでしょうか。オープンスクールや学校説明会で、次のようなことを質問してみるのも良いでしょう:

  • 学校ではどのようにAIを活用した授業を行っていますか?
  • 生徒たちがAIを使って何か成果を出した例はありますか?
  • AIの適切な使い方についてどのような指導をしていますか?

未来に向けた準備は今から

東京都立高校でのAI教育の開始は、お子さんの未来への準備に向けた大きな一歩です。AIは決して「子どもたちの考える力を奪うもの」ではなく、適切に使えば「子どもたちの可能性を広げるツール」になります。

お子さんがAIと共に成長し、未来社会で活躍できるよう、家庭でもAIへの理解を深めていきましょう。そして何より大切なのは、テクノロジーがどれだけ進化しても変わらない、人間らしい思いやりや創造性、批判的思考力を育てることです。

子どもたちの未来は、AIと人間が共に創り出すものになるでしょう。その準備を、私たち大人も一緒に始めていきましょう。